BLOG 加齢とともに減っていくコラーゲン

加齢とともに減っていくコラーゲン

2020.06.05

・加齢とともに劣化・減少するコラーゲン

ヒトのからだは、20歳を過ぎるころからコラーゲンが減少し、40歳代からはほとんど産出されず、からだの組織は次第にもろくなっていきます。

コラーゲンの減少や劣化は、細胞の栄養供給や老廃物の排出ができず、細胞自体、ひいてはからだの組織や機能の劣化・老化を招きます。


判りやすいところでは、お肌のシワやシミ・たるみだけでなく、あかぎれ・ケガの治りが遅くなるなども顕著になります。

またからだの中でも、真皮や関節組織の水分保持機能の低下、軟骨・椎間板などの消耗による変形性関節症・脊椎症、骨粗鬆症などさまざまな症状に発展します。

※アテローム性動脈硬化の一因との説もあります。



・コラーゲンが劣化するって具体的にどういうこと

コラーゲン線維の引っ張り強度は生後加齢と共に上昇し、成熟するとほぼ一定になります。

これは、コラーゲンが強度を保つために形成するコラーゲン分子内および分子間のヒドロキシリジン※による架橋(成熟架橋)を形成し終えることによるものです。

※生理作用はまだ研究されていますが、ヒドロキシリジンは、コラーゲンの3本らせん構造を安定化(強く)するとされており、ビタミンCと鉄(Fe)を使って、酸化酵素によってコラーゲンを強固にする働きのようです。

※ 帆船時代の船乗りがわずらったとされている壊血病はビタミンC不足でコラーゲン合成ができなくなって起きる病気です。現代ではよほどのことがない限り起きません。逆に、壊血病の症状は、コラーゲンが正常に合成・更新できないと起きる症状に相当しています。


20歳を過ぎる頃から加齢に伴い、ヒトが炭水化物からエネルギーとして利用しているグルコース(ブドウ糖-もとは炭水化物)によって糖化(グリケーション※)が発生し、終末糖化産物(AGE)蓄積の増加や分解性が低下します。

※食べ物でいう、メイラード反応に相当: 糖分とタンパク質、酵素が起こす複雑な化学反応で、玉ねぎを炒めるとあめ色になる反応、しょうゆの色もそれです。



・糖化のコラーゲンに対する影響

コラーゲンは他のタンパク質と比べて代謝回転が遅いため、ヒトがエネルギー源として利用しているグルコース(ブドウ糖)によって糖化反応が起こり、分子内に終末糖化産物(AGE)の蓄積や成熟架橋以外の糖化架橋(老化架橋)の形成が関係しています。


終末糖化産物(AGE)の蓄積と老化架橋により、線維芽細胞の足場になる機能を低下させ、細胞死、アルツハイマー病などを引き起こし、皮膚に「はり」を無くし、関節を硬くし、血管が硬くなるなどの老化現象に関わると考えられています。


細胞はコラーゲンを少しずつ生産して分泌すると同時に、少しずつ分解してゆっくりと代謝回転しています。加齢に伴い細胞やコラーゲンが老化すると、ほかのタンパク質と比べてと遅いコラーゲンの代謝回転が一層遅くなり、生体の老化現象やさまざまな疾患を発症・進展させることになることになります。


特にコラーゲンの糖化は、皮膚(肌のはり低下)、骨(骨粗鬆症、骨強度低下)、関節(変形性関節症)などの老化や疾患の進展と深く関係しています。老化現象や老化疾患の発症・進展を予防するためには、コラーゲンの糖化リスクを低減させることが重要なポイントになります。



・終末糖化産物(AGE)の蓄積はどこから

現代研究において、タンパク質と糖が過熱されて劣化したもの=終末糖化産物(AGE)が老化の大きな一因とされています。

この物質はどこからやってくるのでしょうか?


① 食べ物によって体内に取り込まれるケース

昔、親に「焦げたもの」はあまりとらないように怒られた方もいたのではないでしょうか。焼き目や焦げ目になったものがAGEの多い食事ということになります。(正直、食事まで気を使わないといけないのは面白くはありませんが…)

② 血中のブドウ糖が多い(血糖値が高い)ほど、糖と結びつきやすくなる特性で糖化が促進される

糖尿病の患者さんには併発する病気(合併症)では、

  • a) 神経障害 
  • b) 網膜症(失明を引き起こす)
  • c) 腎症
  • d) 動脈硬化(による脳卒中・心臓病)

が代表的なものですが、これは体内のコラーゲンと密接に関係しており、とくに血管(毛細血管)はコラーゲンの比率が高く、前述のように糖化により血管が固くなる・ぼろぼろになりやすい、ということのようです。

判断基準:血液検査「ヘモグロビンA1C」の値が高いほど、全身の糖化が進んでおり、AGEがたまりやすいようです。



・糖は悪者?いやいや糖が不足すると…



②のように糖の摂取が多いのならばと、糖質の摂取を極端に制限すると、今度はエネルギーが不足して疲れやすさにつながります。

さらに、糖質の不足分を補うためにタンパク質がエネルギー源として使われることで、筋肉量が減少してかえって基礎代謝を低下させる原因にもなりかねません。

ブドウ糖は脳にとって唯一のエネルギー源です。

糖質が不足してブドウ糖が十分に届けられなくなると、集中力の低下など脳の働きを妨げてしまう可能性も考えられます。


なにごともバランスですね。


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