BLOG 8月は葉月(はづき)~コラーゲンの歴史~
8月は葉月(はづき)~コラーゲンの歴史~
2020.08.01
【コラーゲンの歴史】
コラーゲン自体は、ギリシャ語の「膠(にかわ)」という言葉が、その語源となっています。ということは紀元前ですね。古代エジプトでも、副葬品の工芸品などの接着に「膠(にかわ)」が使われています。
「膠(にかわ)」は、紀元前から動物の皮や骨を石灰水で煮出しその液を固めたもので、主成分はコラーゲンなのです。「膠(にかわ)」は耐水性があり柔軟性に富んでいるため、古くから接着剤として、日本でも日本画の画材など、さまざまな使われ方をしてきました。
1700年代、ヨーロッパで工業的な製造が開始され、1800年代には食用のゼラチンが製造されるようになり、フランス料理でもゼラチンが使われるようになりました。
【膠(にかわ)】
【体組織の研究】
そのため、哺乳類のからだからそうした「固めるもの」が抽出できることが判っていましたが、からだの組織的な構造としてのコラーゲンが本格的に研究されるのは、1931年に電子顕微鏡が開発されて以降の事です。光学顕微鏡の限界を超えて分解能力が格段に向上したことで、さらにからだの組織に対する詳細な研究がなされるようになりました。
コラーゲンも例外ではなく、コラーゲン構造についての研究がなれるようになったのは、電子顕微鏡の開発がきっかけになっています。
現在では細分化されている「膠原病」も、こうした電子顕微鏡による研究が進んできた中で、研究が進んできた1つです。
「膠原病」は真皮・靱帯・腱・骨・軟骨などを構成する蛋白質であるコラーゲンに全身的に障害・炎症を生じる様々な疾患の総称でが、提唱された当時(1942年アメリカの病理学者による)は病気の主な原因が結合組織(コラーゲン)と血管にあると考え、Collagen-Vascular diseaseと命名され、「膠原病」と翻訳されるにいたります。多くの場合には自己免疫疾患としての関与が考えられていますが、残念ながら、未だ完全な病態の解明はなされていません。
こうした研究が進む中で、コラーゲン繊維は皮膚や内臓、血管などの組織を形成する重要な成分である事から、医療向けの培養液や組織の被覆材・縫合糸などの分野で研究開発が進みます。
【コラーゲン・サプリメントの第1次ブーム】
「コラーゲン」というと、お肌に良い美容のための化粧品やサプリメントを思い浮かべる方が多いと思います。
1990年代には、既に化粧品の成分としてコラーゲンが使われることがありましたが、2000年代に入りゼラチンから進化したコラーゲン・ペプチド(分子)が製造できるようになってから、健康食品分野で脚光を浴びるようになりました。
2007~10年位に“美肌や疲労回復によい”とされ、飲食業界で大流行した「コラーゲン鍋」は、当時の医療系教科書では「口から食べるコラーゲンはタンパク質なので、アミノ酸まで分解されるため効果がない」「分解されなくとも、コラーゲン分子は大きすぎて小腸から吸収されない」とされており、「食べるコラーゲンは意味がない」という論調が、医学界を中心になされてきました。このころの「コラーゲンは傷・肌・関節に~」というのは、あくまでも「民間療法」的な扱いだったのです。
しかしながら当時でも、現場のお医者さまやなどは「良いようだ」という認識をもたれているかたもいらっしゃいましたし、医大や原料メーカーとタッグを組んで永らく研究をされている会社さんもありました。
コラーゲン・サプリメントの精製も年々向上し、非常に低分子なコラーゲン・ペプチド(分子)のものが作られるようになりました。
【コラーゲン・サプリメントの第2次ブーム(と言われています)】
2015年に、コラーゲンの経口摂取で褥瘡(床ずれ)に対する治癒促進効果が発表されるなど、学術論文にコラーゲン・ペプチド経口摂取による有用性に関する研究結果が発表されるようになりました。
また、NHKのテレビ番組でのコラーゲン特集が、経口摂取によるコラーゲンの有用性・機能性に関する研究成果などが紹介されるなど、再び世間でサプリメントとしてのコラーゲンが注目されるようになりました。この2015年に起きたコラーゲン人気の再燃で、二桁成長遂げるなどの再注目を浴びています。
2020年の現在は世界的なコロナ禍の影響もあり、残念ながらインバウンド関連はしばらく回復は望めませんが、2019年までは「インバウンド市場」も拍車をかけて、市場成長を後押ししています。
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